『鹿の王』を読んで考えたこと
久しぶりに『鹿の王』(上橋菜穂子著)を読んだ。
小説を二度読むことはあまりないのだが、
未知の感染症をめぐるこの物語を、
コロナ禍の今、もう一度読んでみたくなったのだ。
上巻で特に心にとまったのが次の箇所だった。
意識のない状態でも、命を支えるためにひたすら動き続ける身体。ーー 思い、考える自己とは別の生き物であるかのように、自分が眠っている間も、ひたすら動き続ける組織・・・。
健やかなときは心が身体を動かしているような気がしているが、病めば、身体は、心など無視して動く。それを経験して初めて気づくのだ。ーー身体と心は別のものだと。
この文章を読んで、ハッと気づいた。
普段、身体の声をちっとも聞いていないことに。
ときどき、身体が妙に重く感じたり、
ちょっとした動作を億劫に感じたりすることはあるが、
「今日は少し疲れるな…」と思うだけ。
身体の状態を感じることより、
「今日の予定をこなさなきゃ」が最優先の毎日。
でも、それを最優先できるのも身体が健康であるから。
この物語を読んで、
今年はもっと身体に注意を払ってみようと思った。身体あってからこその心なのだから。
「身体と心」はこの物語の重要なテーマのひとつ。
コロナ禍で外出自粛の今、身体と心のバランスが崩れがち。
『鹿の王』を読んで、身体と心のバランスについて改めて考えることができた。
次は下巻で考えたことを書き留めたい。